普段仕事で各タスクにどのくらい時間がかかるかの見積もりをしています。
タスクをやる前から正確な消化時間はどうあがいても出せません。
ですが計画を立てるにあたって必要になりますし、何よりタスクの依頼者から求められることが多いと思います。
昔は見積もりの2倍の期間が必要になってしまったことが何度かあり、そのたびに関係者に迷惑をかけてしまっていました。
今でも四苦八苦していますが、1点気づいた経験則みたいなものがありそれを念頭に置くことで見積もりの精度が向上しました。
パレートの法則とは
パレートの法則という法則があり、野村総合研究所のサイトでは以下のように説明されています。
「80:20の法則」ともいわれ、「売上げの8割は2割の社員に依存する」といった傾向をさす。集団の報酬や評価が一部の構成員に集中するという経験則。
イタリアの経済学者ビルフレッド・パレート(1848~1923)が1880年代の欧州の経済統計から「個人の所得額」と「その所得額以上の所得を得ている人の数」との間に見出した法則をいいます。
野村総合研究所 https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ha/pareto_princ
私はこの法則が世の中の様々な部分に現れるように感じます。
Wikipediaには以下のことが例として挙がっています。
– ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出している。よって売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、2割の顧客に的を絞ったサービスを行うほうが効率的である
– 商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。
– 売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
– 仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。
– 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
– 住民税の8割は、全住民のうち2割の富裕層が担っている。
– プログラムの処理にかかる時間の80%はコード全体の20%の部分が占める。
– 全体の20%が優れた設計ならば実用上80%の状況で優れた能力を発揮する。
Wikipedia パレートの法則 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
私はWebアプリケーションエンジニアとして働いていますがWikipediaに例として挙がっていることの半分くらいは私も体感したことがあります。
タスク消化時間とパレートの法則
私が仕事で見積もり以上にタスク消化に必要な時間が伸びたときに感じたのは、メイン部分の作業時間よりもそこからタスクを完全に完了させるまでにかかる時間の方が大きい、ということです。
パレートの法則的に言うと、タスクの完了にかかる時間の8割はタスク全体の2割の部分(メインでない部分)が占める、です。
この記事で想定しているのは比較的粒度が小さいタスクですが、具体例として大変さを言いやすいWebアプリケーションエンジニアなのでECサイトでの商品検索ボックスの開発(プログラミング)を挙げます。
この場合、単語を入力してそれにマッチする商品を画面に出す仕組み自体のプログラミングはそこまで大変でなかったり見積もりからかけ離れた時間がかからなかったりします。
しかし、付随する作業として検索ボックスに何万文字も入力された場合にどうするとか、ネットワークが不安定なとき(実際に商品を検索した結果を教えてくれるシステムからの返事がない)のエラーの検知とエラー画面をどうするとか、システムに問題があったときに調査するためログをどうするか、といったような問題がたくさん出てきます。
なのでメインの部分が完了してもそこからタスクの完全消化まで時間がすごくかかり、昔は気づいたらそれらの細かい作業の時間を合計するとそれこそ全体の8割の時間がかかっていて自分で設定した期限を過ぎてしまう、というようなことが何度かありました。
実施しているシンプルな改善策
問題点は見積もり時点で見落としていた作業がたくさんあったのとそれにかかる時間を甘く見ていたことです。
なので経験を積んでかなりもれなくどのような作業が必要か分かったり、チェックリストが整備されていたり、経験のある先輩のレビューで解決します。
ゆるめであったりスピードを重視するような職場環境かつあまり経験していないタスクであればチェックリスト等がなかったり見えないタスクが多いです。
そういうときはメイン部分にかかる時間を見積もりそれを2割とみなしそれ以外にかかる時間を8割かかる可能性があるとして、そんなにかかるかなと思っても多めに見積もったりしています。
多く見積もりすぎかなと思っていても、意外とタスクの成果物の品質を上げたりメイン部分ができてからタスク完了しきるためにかかる時間がメイン部分の4倍近くなることは多々ありました。
また、依頼者への期待値のコントロールの観点からしても、期限をすぎるよりかは長めに設定して早くできた方が印象が良いです。
あまりにも依頼者の想定より長い時間を提示すると理由を詳細に聞かれたり短くできないかと言われたりしますが、その見積もりに至った理由をちゃんと説明したり、リスクを伝えた上で期限を短くして状況が変わり次第すぐ相談する方式にしたりできるかと思います。
期間の前後半での労力配分を変更して改善する方法
この記事のこれまでの話とは違いますが以下の本でもパレートの法則に触れてかつ同じ問題に対処できる別の方法が説明されていて勉強になりました。
場合によっては少し体力が必要になると思いますが、この本で紹介していたのは最初に猛スピードでタスクを進めることでした。
締め切りが近づいてから頑張るのは精神的に疲れますし上司も不安になります。その分最初に大部分終わらしてしまうこの方法であれば精神的に良く、後半は時間のゆとりが生まれます。
しかし、例えば忙しい状態が続いているとき、突発的に優先度の高いタスクが頻繁に降ってくる状況でいきなりこの方法に切り替えるの大変だなという印象です。